家の近くに猫屋敷があります。近所の人が餌をあげているようで、推定でも50匹以上の猫がいます。体臭やフンの影響でひどい悪臭が充満し、家の庭にも勝手にフンをしていくので、とても困っています。餌をあげている人に苦情を言っても、やめようとしてくれません。子供を生んでいるせいか、日に日に数が増え、状況は悪化する一方です。こういった場合、法律的には、誰に責任があり、どう解決すればよいのでしょうか?
このような場合、法律的にみると、餌をあげている人に責任が生じます。
実際、犬・猫に餌をやり続けることで受忍限度を超える悪臭や糞尿被害が生じている事案で、餌を与えている人に損害相性責任が認められた裁判例があります(神戸地裁平成15年6月11日判決)。
次に、具体的な解決方法についてですが、責任追及の裁判以外にも簡易裁判所の民事調停や各都道府県弁護士会が行っている仲裁(*ADR)手続きを利用することが考えられます。その他の解決方法として、行政を利用することも考えられます。
各都道府県には、狂犬病予防員がおり、未登録の犬、鑑札のない犬、狂犬病の予防注射を受けていない犬を拘留する権限があります(狂犬病予防法6条)。なお、猫の場合でも、狂犬病にかかっている疑いがある場合には、これを隔離してもらうことができます(同法8条、9条)。さらに、近時、荒川区では、飼われていない動物への餌やりによる周辺住民の生活環境に被害を与えている場合に、区長が、餌を与えている人に対して必要な措置をとるよう命令することができる条例が成立しました。命令に従わない場合は、5万円以下の罰金もあります。これは荒川区の条例ですが、その考え方、趣旨については、他の行政区、また、訴訟調停、ADRにおいても影響を与えるものといえます。
*ADR:裁判外紛争解決(Alternative Dispute Resolution)
野良猫への餌やりによる近隣への迷惑は、違法行為となる場合があります。餌をやる以上フンの始末や不妊手術への協力など、最後まで責任を取り、猫と人間との理想的な共存を目指しましょう。