先日、愛犬が交通事故で亡くなりました。散歩中、通りかかったお宅の犬がうちの子に向かって突然吠えてきました。うちの子はびっくりして走り出し、その拍子にリードを放してしまい、そこへ通りかかった車にひかれました。リードをしっかり持っていなかったことを悔やみながらも、そこのお宅とはそれ以来関わりを持つのをやめました。交通事故で死んでしまったペットに対し何か適用される法律はあるのでしょうか。
交通事故によりペットが死亡した場合、事故を起こした運転手に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できる場合があります(民法709条)。
今回のケースでは、まず、他の犬に吠え掛かられて突然道路に飛び出して交通事故が発生したということであれば、基本的には運転手に注意義務違反があったとは言えず、損害賠償責任が認められる可能性は低いと言えます。他方で、仮に運転手に前方不注意や速度違反などがあり、これらの違反がなければ交通事故が発生しなかったといえる場合であれば、運転手に対して損害賠償責任が認められる可能性があります。例えば、飼い犬が突然道路に飛び出したわけではなく、運転手がわき見をしていて交通事故が発生したような場合であれば、そのようなわき見がなかったら交通事故は発生しなかったといえますので、運転手に注意義務違反があることになり、損害賠償責任が認められます。
ただ、飼い主にも「リードをしっかり持っていなかった」という過失がありますので、過失相殺(民法722条、417条)により損害額が減額されることとなります。特に、ペットの死亡については多くの場合、同種のペットの購入価格相当額程度しか認められないか、慰謝料が認められるとしても数万円から数十万円と低額になる場合が多いことから、実際に支払いが認められる金額は小さくなることが確実です。