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病院の待合室で他の犬と出会いがしらに噛まれた

ペットの法律相談所



予防摂取のためにペットを病院に連れて行ったときのことです。時期のせいかお客さんがとても多く、それほど広くない待合室は外で待つ人がいるほど混雑していました。そんな中待っていた時、診察室から出てきたブルドッグが扉の前に立って待っていたトイ・プードルに噛み付いてしまったんです。慌てて引き離されましたが、トイ・プードルはすぐに治療室に運ばれました。結局大事には至らなかったようですが、このような場合、どちらが悪いのでしょうか。





 自分のペットが他のペットに襲われて怪我をした場合、原則として、怪我をさせたペットの飼い主に対し、不法行為に基づき損害賠償を請求することができます(民法718条)。この賠償責任は、飼い主が相当の注意義務を尽した場合には免除されますが、本件の場合、ブルドッグの飼い主は、待合室には他のペットがたくさんいたことは認識していたといえますので、他のペットに噛みつかないよう細心の注意を払うべきであり、賠償責任が免除されることはないといえます。ただ、トイ・プードルの飼い主も、待合室が混雑していたとはいえ診察室の扉前にいたわけですので、診察室から出てきたペットと出会い頭の事故が発生することも予見できたといえますから、多少の落ち度があるといえ、過失相殺により損害賠償額は減額されるといえます。
 最後に、この場合、病院も管理者としての責任を問われる可能性があります。
 この点、コンビニエンスストアにおいて顧客が濡れた床に滑って転倒し怪我をしたケースについて、店舗は不特定多数の者に対して、商品を購入させて利益を上げる場所である以上、「不特定多数の者を呼び寄せて社会的接触に入った当事者間の信義則」に基づく安全管理上の義務としてコンビニエンスストアは床が滑らないような状態を保つ義務を負っていたにもかかわらず、この義務に違反したとして、損害賠償義務を認めた判決があります(大阪高裁平成13年7月31日判決)。
 このような考え方に基づけば、病院としても、自ら開院した病院に多数のペットが集まることは理解していたのですから、待合室が混雑して事故が予見できる場合は、臨時待合室を設置したり、事故発生防止のための張り紙をするなど、ある程度安全管理に必要な対策を立てる義務があると考える余地もあります。
 このような義務が認められれば、怪我をしたペットの飼い主は、病院が安全管理の義務を怠ったものとして、病院に対しても損害賠償を請求することが認められる可能性があります。

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