ペット飼育可のマンションを購入し、うちでは猫を2匹飼っています。6階なので外には出さず部屋の中で自由にさせているのですが、近所の階の人から苦情を言われます。「毛がつく」とか「鳴き声がうるさい」とか。ただ、うちの子は外に出していませんし、よく鳴くほうではありません。発情期だけはよく鳴きますが、窓を開けていなかったので外に大きく響いたとも思えないのです。ちなみに相手はペットを飼っていません。会うたびにちくちく言われることにそろそろ限界を感じています。ペット飼育可だから購入した家ですので、簡単に引っ越すわけにもいきません。今後、こういう人に対してこちらはどのように接すればいいでしょうか。また、何か問題が起きた時、こちらは責任を取らなくても大丈夫でしょうか。
ご相談者のマンションは、ペット飼育可のマンションですから、ペットを飼うこと自体は問題ありません。しかし、ペット飼育可ならどのような飼い方をしても構わない、とはならないことに注意する必要があります。
ペットの飼育により、判例からすれば、いわゆる受忍限度(常識で考えて我慢の限度といえるもの)を超えた迷惑を他の居住者に強いる場合は、飼い主が損害賠償等の法的責任を負うことになります(民法709条又は718条)。たとえば、飼い主が猫の糞尿を放置したところ、その悪臭が他の居住者の室内にも継続的に及び、その程度もひどい、といったような場合です。このように、何か問題が起きた時、ペット飼育可であることをもって飼い主が責任をとらなくてよいということにはなりません。
ご相談者の方の猫は、外に出していない、また、よく鳴くほうではない、ということですから、「近所の階の人」が過敏に反応しているだけで、基本的には、何ら相談者に法的責任はないといえます。このような人に対しては、実際にどの程度、相談者の飼っているペットの「毛がつく」のか、又は「鳴き声がうるさい」のかを事実確認した上で、ペット飼育可のマンションであり、受忍限度の範囲内の鳴き声等であることを説明していくのがよいと思いますし、直接説明することが人間関係として難しいような場合は、当該マンションの管理組合理事会などに相談することも方法の一つだと思います。
もっとも、飼い主が主観的に「私のペットは大丈夫」と考えているに過ぎず、客観的にみると周囲の大変な迷惑をかけており、受忍限度を超えている場合もあります。このような意味でも、飼い主は、ペットが周囲にどのような影響が与えているのかについて、常に注意を払うことが大切であるといえるでしょう。