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犬種別病例(その1:ミニチュア・ダックスフント)

病気の知識




こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニック 院長の加藤です。
獣医のTVドラマは皆様ご覧になりましたか?かなり誇張してあったりで、同業者からすると笑っちゃう場面も多かったです。他の業界がテーマのドラマもこんな感じでオーバーに表現してあるのかな?って思いました。ま、獣医は職人的な仕事なので「愛想が無くても病気が治せれば良い」と個人的には思いますが・・・。今回は犬種別病例としてミニチュア・ダックスフントを取り上げてみました。


【ミニチュアダックスのなりやすい病気はどんなものがあるのか?】

ミニチュアダックスといえば一番多いのが「椎間板ヘルニア」です。TV 等でもよく取り上げられているので、ご存知の方も多いと思いますが、重症例だと下半身麻痺になって車イス生活を送らなくてはいけなくなる事もあります。人間のヘルニアとは比較にならないほど重症化しやすい病気ですが、早期発見・早期治療をすれば内科療法で治療できます。治療開始が遅かったり内科療法で反応が悪い場合は手術が必要になります。ただ、手術が必要なほど進行している場合は、手術後の経過も悪い場合も多いので、早期発見・早期治療が一番の対策です。


【何才から始まり、どれくらいの期間つづくのか?】

ヘルニアが発症するのに年齢はあまり関係ありませんが、3 ~6才が多い傾向があります。ヘルニアは遺伝が関係している可能性が高いため、中年までに発症しない犬はその後も発症しにくいです。また、若齢期は軽度のヘルニアが自然に治っているのではないかと予測されます。軽度のヘルニアが何度も繰り返され、次第に重度のヘルニアへ進行し、突然重症発症したように見えるのです。症状が続く期間は軽度なら1 ~ 2 日で治まる事もあります。重度では治療をしない限りどんどん進行し、下半身麻痺へと発展します。


【その病気で起こる問題はどういったものか?】

ヘルニアで起こる問題は、最悪の場合下半身麻痺になってしまうという事です。下半身麻痺にも色々程度が有りますが、自力で尿や便ができなくなってしまったり、反対にいつも尿や便が漏れてしまったりする事もあります。この場合は、飼い主が尿や便をさせてあげたり、おむつで常に尿や便の管理をしたりと非常に大変です。また膀胱麻痺から慢性膀胱炎を併発する事もあります。この尿や便の管理は想像以上に飼い主にとって大変なようで、安楽死を選択しようとする飼い主もいます。


【治療と予防について】

その1【治療代はいくらくらいかかるのでしょうか?】
治療費は症状の程度によって変わりますが、他の病気と同様に早期発見・早期治療ほど費用も少なくて済みます。当院の場合では初期症状で内科治療だけなら3 万円前後、手術の場合は20~ 30万円程です。その後も継続的に検査や投薬が必要になる事が多いため、程度にもよります、月に数千円以上は必要になるでしょう。また、ヘルニアは再発する事も多いので要注意です。

その2【ミニチュアダックスのなりやすい病気を防ぐ方法】
ヘルニアを予防する方法は「過度な運動を制限する」・「滑りやすい床材を使用しない」・「脊椎に上下の負荷がかかる立ったジャンプをさせない」等です。予防法とは少し違いますが、一番現実的なのはミニチュアダックスの後ろ足に少しでも異常があれば、すぐに動物病院で診察を受けるです(膝蓋骨脱臼という膝の異常でも後ろ足をかばう事が有りますが、飼い主さんが判別するのは難しいでしょう)。様子を見ている間に病状が進行して手遅れになる事も多いので、ミニチュアダックスの後ろ足の異常に関しては「過敏なぐらいでちょうど良い」と思います。


全体的なまとめ

以上のようにヘルニアは非常に怖い病気です。当院の治療例では、早期発見では内科で治療できる事が多く、飼い主のペットに対する熱意と治療効果は比例しているように感じます。投薬以外にも近赤外線という針治療のような効果の治療法もありますので、最近の流れとしては手術をしないのが主流になりつつあります。しかし、不幸にも下半身麻痺になってもその他の臓器は健康なので、長生きする事もできます。毎日の世話は大変ですが、非常に大事に飼われている子もたくさんいます。犬はおよそ15 ~ 20 年しか生きられません。もし皆様のペットが病気を抱えた場合でも、安楽死などという発想はしないで、大事にお世話してあげることを期待します。

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