こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニック 院長の加藤です。すっかり暖かくなって過ごし易くなりましたが、皆様、花粉症はいかがでしょうか?最近は花粉以外にも、黄砂に混じって有害物質が運ばれてきているようです。日本も高度成長期の頃は
有毒物質を排出しまくりで、光化学スモッグや水質汚染で病気になるなど、他国の事を批判できるような身分ではないような気がします。最近は環境意識が高くなったせいか、自国での環境破壊は少なくなっているように思えます。が、その分やる気の無い若者の増加とか国全体の力が停滞~減速して、日本の将来に不安を感じてしまいます。やっぱり盛者必衰ってことですかね?そんな事も考えつつ、今回は犬・猫の老後についてのお話です。
【ペットが年老いてきたら】
犬 ・ 猫の寿命は、犬(大型10 年/ 中型13 年/小型16 年) ・ 猫15 ~ 20 年が一つの目安です。もちろんもっと長生きする場合もあります。寿命はペットの種類によって差が有りますが、人間の30 ~40 才にあたるのは大体6 ~ 7 才で共通しています(つまり、大型になるほど急に老化していくという傾向が強いという事です)。6 ~ 7 才になると病気の発症率も上がり、手術や入院が必要な大病も起こってきます。予兆は病気の種類にもよりますが、内臓関係の病気の場合は、食欲が無くなったり、水をよく飲むようになったり、咳をしたり、なんとなく元気がなかったりします。ガン(悪性腫瘍)が内臓に発生した場合は、外見からは分かりませんし、症状が出た時には手遅れということも少なくありません。体表のガンならば日ごろから触っていれば早期発見できます。
【かかりやすい病気】
犬の場合」…ガン(特に乳ガン・内臓のガン)・腎不全・肝不全・心不全・尿結石・子宮蓄膿症・糖尿病・前立腺肥大・睾丸腫瘍等々。「猫の場合」…腎不全・ガン・心不全等々。こうしてみても、犬の方が圧倒的に病気になり易いといえます。犬はオオカミから人工的に交配を繰り返し、人間の都合で様々な形に変えたために血が濃いのが関係していると思われます。例えば、ポメラニアンやチワワ等の小型犬では、ほぼ100%膝の異常を持っています。ほぼ100%となると、もう病気というより「負の進化の結果そういう膝」と考えても良いぐらい?です。猫は今でも野良猫が多く、自然淘汰されているため病気にも強くなっているのではないかと思われます。猫も純血種の方が病気になり易く、原因不明の病気を発症する事も多いです。
【対策】
「乳がん」…早期の避妊手術しかありません。最初の発情の前に避妊手術をすることでかなりの確立で予防できます。交配予定の無い場合は、早目の避妊手術をお勧めします。
「内臓のがん」…定期的な超音波検査が一番有効です。早期発見ならば他の臓器と癒着もなく、切除可能です。
「腎不全・肝不全・糖尿病・心不全」…定期的な血液検査や心電図検査で早期発見が有効です。早期発見ならば薬や病気用のフードだけでコントロールできます。また、歯石除去を定期的に行い、口の中を清潔にしておくのが非常に重要で、特に心不全は口の中の細菌が心臓に付着して起こります。
「尿結石」…定期的な尿検査や超音波検査が有効です。尿結石が結晶や砂のような小さな段階で発見すれば、薬や病気用のフードだけでコントロールできます。
「子宮蓄膿症」…避妊手術で子宮をあらかじめ切除しておくのが確実です。6 才頃から発生率が高くなるのでそれまでには行った方が良いです。また、生理後2 ~ 3ヶ月の間に発症し易いのでその間は要注意です。発症してしまったら基本的には外科手術ですが、あまりに高齢なペットの場合は抗生剤をあらかじめ投与して予防する事もあります。
「前立腺肥大・睾丸腫瘍」…去勢していない犬ではかなりの確立でなります。これも去勢手術であらかじめ切除しておくのが確実です。
全体的なまとめ
以上のように現実的には定期検査で早期発見・早期治療が一番の予防です。また、避妊・去勢手術も病気を防ぐのに有効です。犬・猫は人間に比べ早く老化していきます。生まれた時から圧倒的に短い命の運命で、長くて20 年。人間で考えれば、成人式を迎えるのはほぼ無理という運命なのです。もしかしたら、中学卒業も無理かもしれないのです。運命に逆らう事はできませんが、かわいがり、良い物を食べさせ、愛情を注ぐ事でペットの免疫力も高まり、病気への抵抗力も強くなることでしょう。