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犬・猫の口臭

病気の知識




こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニック 院長の加藤です。先日の東日本大震災で被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早く普段の生活に戻れますよう、心よりお祈り申し上げます。当院も微力ながら、被災地より避難されてきた方のペットのお預かりや治療は無料で行う等の協力を行っています。困難な場面ほど真の人間性が出ますが、あれほど大きな災害でも暴動も起こらず、被災者の礼儀正しさや忍耐強さ、また、原発に対応すべく最前線の現場に出向いた方々の侍魂には、同じ日本人として誇りを感じます。諸外国の援助も普段国交が無い国からも有り、本当に感謝の一言です。


【うちの子、口が臭いんです!】

よく飼い主さんから「うちの子、口が臭いんです!」と相談される事があります。口臭の多くは歯石が原因で、ひどい場合は歯周病や歯肉炎にまでなっています。生まれたての時はみんなきれいな歯で口臭もありませんが、2~3年もすると必ず歯石が付いてきます。付着程度は体質や食べ物でもかなり差があります。10歳ぐらいになると恐ろしいほどの歯石が付いていたり、強烈な口臭がするペットもいます。診察室が口臭で臭くなる事もあるほどです。でも、飼い主さんの中には気にしていないような人もいて、鼻が悪いのか、いつも一緒でマヒしちゃっているのか分かりませんが、ペットの健康に悪い事は間違いないです。また、歯石がひどいと歯もグラグラになり、歯石を取るのと同時に歯も抜けてしまう事があります。


【なぜ臭くなるのか】

なぜ臭くなるのかというと、歯石は「ばい菌」の塊だからです。ばい菌(細菌)は悪臭を出す物が多く、臭いの元になっているのです。また、ずっと歯石が口の中にあるので、いつも汚い毒素を飲み込んでいる事になり病気の元になります。また、菌が心臓や腎臓等に運ばれてしまい心不全や腎不全等の病気を引き起こす事もあります。最近では、脳にも菌が運ばれ障害を起こすことも分かってきました。よくTVの歯磨き粉のCMでやっている歯周病連鎖というものです。歯石は単純に「臭い」というだけではなく、病気の元になってしまうのです。


【対策】

対策は「歯磨き」が一番有効で、これ以上効果的なものはありません。方法は写真にもあるように、人間が歯磨きするように、歯ブラシで磨いてあげれば良いです。かなり嫌がるペットもいるでしょうが、しつけの一環としてがんばりましょう。写真のモデルは我が家の犬ですが、毎日歯磨きをしているので、歯石は全くありません。多少「イヤイヤ」はしますが、我慢してくれます。歯ブラシは動物用の物もありますが人間用のものでも良く、種類もたくさんあり、口の大きさや形によって選ぶと良いでしょう。柔らかめの歯ブラシの方が歯肉を傷つけなくて良いかと思います。歯磨き剤も動物用の物もありますが、緑茶でも殺菌効果があるのでお勧めです。ペットの場合、人間のように「ペッ」と吐き出さず飲み込んでしまうので、コップ等にお茶を準備して、歯ブラシにつけながら磨いてください。「お茶」→「磨き」→「すすぎ(水で)」→「お茶」…という順番で行ってみましょう。ガーゼでも表面はきれいになりますが、一番汚れる歯と歯肉との間(歯周ポケット)はきれいになりません。その他には、おやつやフードで歯石予防効果のある物も有りますが、歯ブラシには及びません。
試しに自分(飼い主)の歯で、ガムや硬い食べ物で歯磨き代わりにしてみればすぐに分かりますよ。1ヶ月も歯ブラシ無しで続けられたらかなりの強者だと思います。




全体的なまとめ

歯石はすごく硬いので、できてしまったら歯ブラシでは取れません。基本的には超音波スケーラーという機械で取ります(ペンチのようなもので取っても、奥歯や歯の裏や歯周ポケットはきれいにできませんし、歯の表面に傷をつけることにもなり、より歯石が付きやすくなります)。よほどおとなしいペットで無い限り、麻酔をする事になりますので、人間のように歯医者で毎回きれいにしてもらうのとは訳が違います。スケーラーできれいにしても、手入れをしなければすぐに歯石は付いてきます。「たかが歯石」などと軽く考えていると、後々重大な病気になり、飼い主もペットも苦しむ事になります。100円ほどの歯ブラシと飼い主の少しの労力で歯石はかなり防げます。歯石は万病の元とも言えますので、是非真剣に歯磨きをしてあげてください。

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