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腎不全について

病気の知識




こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。もうすぐ暑い季節ですね。皆様は節電を心がけていますか?公表される情報も疑わしい現在ですが、真実にかかわらず当院はスタッフ皆で地道にエコしています。紙の無駄使いも不要な電源OFFも涙ぐましい努力をしています。余ったフードも花壇に撒いたりして鳥達の餌になっています。日本はなぜかサマータイムを導入しないんですよね?欧米では当たり前なのに。これも何か裏があるのでしょうね?どこの団体が反対しているんでしょうか?一般人には分からないダークがいっぱいです。


【腎不全とは】

 腎不全は人間界でも震災で人工透析ができなくなったり、少し前には腎移植で問題になったり度々話題になりますが、動物病院でも非常に良く遭遇する病気の一つです。少しオーバーに言えば老猫のほぼ100%が腎不全になると言っても良いほどです。犬は猫ほどではありませんが老犬になるとかなりの高確率で腎不全になります。
 腎臓は『血液の濾過(ろか)機』の様な物で、老廃物を尿にして体の外に出します。腎不全になるとその『濾過機』が壊れてしまうので、血液が汚れたままになり、毒素が体中を回り、最終的には死亡してしまいます。


【症状】

 症状としては、食欲不振→嘔吐→神経異常(けいれん等)と進むことが多く、診察時にはすでに病状が進んでいてそのまま入院ということも珍しくありません。急性腎不全は基本的に尿が出なくなるので日頃から注意していれば飼い主でも発見できますが、慢性腎不全はゆっくり進行し、尿量の変化もあまりありませんので嘔吐が起こって気づく飼い主も多いです。若いペットの場合は急性腎不全の事が多く、比較的短期間で治ります。
 高齢ペットの場合はほとんどが慢性腎不全で完治は難しく、薬や療養食で腎不全をコントロールしながら病気と付き合っていく事になりますが、上手にコントロールすれば何年も普通に生活できます。また、糖尿病や肝不全や心臓病等の他の病気が併発していることも多く、一緒に治療しないといけない事もあります。


【対策】

 急性腎不全の原因は尿道に結石が詰まってしまう『尿道閉塞』が一番に挙げられます。予防としては、定期的な尿検査や超音波検査等で膀胱結石を早期発見する事です。また、最近では膀胱結石を予防する効果のあるペットフードも多種あります。
 慢性腎不全の予防は非常に難しく、獣医療の発展に伴ってペットも高齢化していますので、寿命が延びればガンや心臓病、腎不全等の病気に最終的にはなってしまうでしょう。しかし、発症を遅らせる事は可能で、塩分を取り過ぎないようにする事が非常に重要です。ペットフードの中には食いつきを良くする為に塩分が多目の物があるので注意が必要です。
 他にも定期的な血液検査による早期発見が非常に有効で、早期発見をすれば療養食や薬で進行を遅らせる事も可能です。特に7歳以上の猫は腎臓検査だけでも頻繁に(例えば3ヶ月毎)行う事をお勧めします。
 腎不全になってしまった後の対策は長期の治療になる事が多いので、獣医師とよく相談し、治療計画を立てることが大事でしょう。腎不全は一時的な治療で一見治ったかのように見える事もあり、治療を中断してしまう飼い主もいますが、例外なく再悪化して再度入院治療が必要になります。在宅治療や通院治療も十分可能なので、中途半端に治療を中断するより獣医師の指示に従った方が得策だと思います。


全体的なまとめ

 腎不全は特に猫の宿命のような病気です。腎不全が発見される猫の中には、若い頃から病気をほとんどしたことがない猫も多く、ずっと健康だった猫程発見時には重症だったりします。反対にいつも膀胱炎等で検査をしている猫の方が早期発見で進行を遅らせる事ができたりします。まさに一病息災です。一見健康なペットの飼い主も定期的な健康診断を行った方が良いですよ。
 当院でも数年に亘り治療を続けている飼い主も多数います。時間も費用も大変だと思いますが、皆さん可愛いペットの為に一生懸命がんばっています。獣医界も人工透析や腎移植がもっと現実化すれば、さらに長生きができるようになるでしょうが、費用的な問題や倫理的な問題で獣医界では導入が遅れています。大学病院が先頭に立って積極的に組織作りから行わないとなかなか実現は難しいでしょうね。最近では獣医界も専門化してきていますので、そのうち腎臓移植専門動物病院が登場する事を期待したいものです。

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