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健康診断について

病気の知識





こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。フィラリア予防薬の処方や狂犬病予防の時期も終わり、診察も少し落ち着きを取り戻してきました。当院も開院10年程になるので、子供の頃から診察しているペット達も中年~初老になり、予防接種の際の簡単な健康診断で心臓や内蔵の異常が見つかる事もしばしばです。また、私が飼っている犬ももう8才になり、最近は寝てばかりで、すっかりおじさんの雰囲気になってしまいました。いつか死ぬのは避けられない運命ですが、その事を考えると今から悲しくなります。すごく長生きをしたとしても20年程の寿命ですし、途中で病気や事故で死亡するかもしれない事を考えるとあと何年一緒にいられるのか?あと10年生きるとしても3650日しかないです・・・。これがお金だったら10年で3650円しか使えない・・・。1円(1日)がすごく大切に思えませんか?今回は1秒でもペットに長生きをして欲しい人には是非行って欲しい健康診断についての話です。


【健康診断の意義】

ペットの種類に関わらず、寿命の半分程(いわゆる中年)になると病気になりやすくなります。例えば犬・猫なら6~7才、うさぎなら3~4才、ハムスターなら1~1.5才etc.です。年齢により発症する病気も違ってきます。獣医も経験を積むと年齢・性別・種別等から病気を推測する事が出来るようになり、検査をしなくても大体の診断の目安をつけることが出来ますが、現実には異常の発見と正常である事の確認のため検査を行います。検査をする事で、客観的な判断が出来るので、誤診を避ける事もできます。健康診断は一見病気では無い時に行う訳ですが、症状に表れていない初期の病気を発見する事と、正常時の検査データを把握する事に意義があります。生物には個体差があり、正常時の検査データと調子の悪いときのデータとを比べる事は非常に有効で、例えば赤血球の数でも元々多かったり少なかったりする場合が


【健康診断の内容】

中年以降の健康診断は半年に1回以上は行う事をお勧めします。内容は種類や年齢によっても変わります。当院の場合は主に犬・猫対象ですが、人間ドッグのようなメニューもあります。内容としては『尿検査・便検査・心電図・レントゲン・血液検査・超音波検査』のセットです。これにより良く起こる病気の早期発見が出来ます。基本的に麻酔等の必要がないリスクのない検査ばかりです。異常が発見されればさらに細かい検査を行い原因を特定します。いずれにしても、飼い主が症状に気づく前の早期発見が可能ですので、治療も軽度なもので済んだり、定期的な検査や軽い処置で維持できる場合が多いです。また、他の種類のペットも獣医師と相談して個別で検査をしたり、必要なメニューを組む事も出来ます。


【健康診断の例】

  • ● 膀胱結石は若いときから非常に起こりやすい病気ですが、定期的な尿検査を行う事で『尿道閉塞』や『腎不全』という重大な病気を防ぐ事が出来ます。尿検査は尿を採取するだけですので、ペットに対するリスクもストレスもゼロで出来る検査です。『尿道閉塞』や『腎不全』になって瀕死の状態で来院するペットを良く見かける臨床医としての立場からすると、何故皆さん尿検査をもっと行わないのか不思議なくらいです。料金的にも大体1000円程でしょうし、飼い主の手間もそんなに掛からないと思うのですが??
  • ● 猫はほぼ100%『腎不全』になるので、猫の『腎不全』対策は10歳以上ならば毎月血液検査をしても良いほどです。腎蔵検査だけなら料金的にも大体1000円程でしょう。
  • ● 心不全も良くある病気ですが、聴診や心電図やレントゲンで発見できます。心臓は一度悪くなると治る事はありませんが、早期発見ができれば進行を遅くしたり、症状を抑える事が出来ます。特に聴診はペットに対するリスクもゼロで出来る検査です。症状が出る前の初期の段階でも心雑音はありますので有効な検査です。聴診なら検査費も掛からない病院がほとんどでしょう。また、心不全は歯石が原因の一つですので、当院では歯磨きの指導もしています。完全にはきれいに出来なくても歯磨きをするのとしないのでは歯石の付き方が全く違います。これも費用は歯ブラシ代だけです。
  • ● 犬に多い乳ガンも、慣れた獣医なら1mm以下のしこりでも発見できます。これも触るだけですのでリスクはゼロです。ついでに費用もゼロでしょう。
  • ● 内臓に出来るガンも超音波検査で発見できます。これもリスクはゼロです。
  • ● 外耳炎も掃除の仕方が間違っていたり不適切な治療で重症化している例も良く見かけます。手術で耳道を切除しなければいけないほど悪化している最悪な症例もあります。これも外耳炎に詳しい獣医に指導してもらえば自宅での日頃の手入れで100%防げます。費用も耳の洗浄剤だけです。

こうして少し例を挙げてみても、高確率で起こる重大な病気がリスクも少なく、費用も数千円で早期発見&予防できるものも多いのです。診察の際に獣医を良く観察していると、若いペットと中年以降のペットに対する体のチェック法が違っているのに気づくと思います。慣れた獣医は病気のポイントが分かっているので飼い主と話しながら全体を観察したり、においをかいだり、さりげなく各所を触ったりしています。何でもかんでも触りまくるのは凄く丁寧な獣医かまだ良く分かっていない獣医なのでしょう。


全体的なまとめ

生物が老いるのは誰にも避ける事はできませんが、自分のペットには苦痛無く楽しく一生を過ごして欲しいものです。診察をしていると『もっと早く気づいていればこんなに苦しまなくて済んだのに』とか『もっと元気に長生きできたのに』と思う事も珍しくありません。飼い主を責めるような形になるので口には出しませんが、心の中では思う事も度々です。『健康そうに見えたから』『今まで病気をしたことがなかったから』というセリフも良く飼い主から聞きますが、生物が必ず病気になるのは十分想像できる事ですし、外見では分からない異常も多いです。長い不況の中ですからペットに使えるお金も限られてくるでしょう。でも、心ある獣医なら予算の範囲で最善の治療や予防策を提案してくれると思います。飼い主の熱意が伝われば親身になってくれる獣医も多いと思います。毎年何十万匹も人間の都合で殺処分される無力な犬や猫たちですが、せめて人間に飼われたペット達だけでも長生きをして欲しいと思います。

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