こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。すっかり暖かくなり、黄砂や花粉に加えてPM2.5などという新しい物質も話題ですね。癌の発生率が高くなったり、新しく生まれてくる子供に奇形が多くなるのは何年後でしょうか?只今人体実験進行中って事ですかね?きれいな空気もただじゃなくなってしまったのですね。当院も換気扇をストップして空気清浄機が稼働中です。今回は目の病気について教えて欲しいとのリクエストがありましたので、日常の診察で良く遭遇する病気を中心にお話します。
【目の病気とは?】
日常の診察で多いのは白内障・緑内障・角膜炎・結膜炎です。犬・猫・うさぎ・ハムスター・鳥等ペットの種類を問わず目の病気になります。痛みを伴ったり、程度によっては失明したりしてしまう物もあります。ひどい感染症を起こしたり、痛みが激しく完治の可能性が低い場合には眼球摘出になる事もあります。以下で各病気について述べていきます。
【白内障について】
白内障は老化と共に目の中心の透明な部分(水晶体)が徐々に白くなって最終的には失明してしまう病気です。犬は7歳ぐらいから始まる事が多く、犬種にもよりますが早ければ10歳ごろには真っ白になる事もあります。ヨークシャ・テリアやダックスフント等は比較的進行が速い傾向にありますが、一般的には進行が遅い事が多く、何年もかけてゆっくり白くなるので、部屋の家具の配置を変えなければ日常生活に困る事は少ないようです。治療としては、白くなった水晶体を元の透明な状態に戻す薬はありませんが、進行を遅らす事は目薬で出来ます。また、若年性白内障という若い時に発症して進行が速い物もあります。状態によっては白くなった水晶体を人工物に入れ替える手術をする事もあります。
【緑内障について】
緑内障は眼球の中の圧力が高くなり、急に眼球が大きくなったり、痛みが出たり、眼の表面が白くなったりします。老化と共にゆっくり進行する場合もありますが、急性に進行する事もあります。急性緑内障は痛みを伴う事も多く、涙目になったり違和感から眼を掻いたりするので、飼い主が行動を不振に思って来院する事も多いです。急性緑内障は内科治療で治る事も多く、早期発見なら失明しませんが手遅れになると失明してしまいます。内科治療の反応が悪い場合は手術をする場合もあります。老化による緑内障は飼い主も気付かない間に進行していて、良く物にぶつかるという程度の変化で、診察時にはすでに失明している事も多いです。明るい場所で瞳孔が開いていて、黒目が大きくてかわいく見える場合は緑内障の可能性があります。
【角膜炎について】
角膜炎は眼球の表面の角膜という透明な部分に傷が付いて白くなったり、口内炎のように眼の表面に穴が開く病気です。角膜に穴が開いてしまうと眼球の中身がドロッと出てくる事もあります。自然に発症する場合もありますが、自分で掻いて傷つけたり、木の枝等で傷ついたりした外傷が原因の場合も多いです。早期発見ならば目薬や内服薬で治りますが、治りが悪い場合は眼球を保護する手術が必要になります。また進行程度によっては透明な角膜に戻らない場合もあり、眼の表面に傷跡のように白く跡が残ったり、血管が残ったりする場合もあります。パグ・フレンチブルドッグ等の眼の大きな犬種では発生率が高く、少し眼をこすっただけで角膜に傷が付いてしまうことも多いです。
【結膜炎について】
結膜炎は目の周囲の赤い部分が炎症を起こす病気です。花粉症でかゆくなっている人も多いので良く知られていると思いますが、ペットでも非常に多く、花粉・ウイルス・菌・異物等様々な原因でなります。かゆくて掻いてしまうのも原因の一つです。結膜炎から角膜炎に発展する事もよくあります。猫では仔猫の時にウイルス感染から結膜炎になり、適切に治療しないと慢性化してしまい一生涙目と付き合う事になります。また、ウイルス性の結膜炎は他のペットにも感染します。治療は点眼薬や内服薬で行いますが、ウイルスや菌等の感染性の場合は完治させないと再発する事も多く、薬を不適切に使用すると慢性化させてしまう事になります。痒みを伴う事も多いので、掻けない様にする事も重要です。
全体的なまとめ
目の病気は内臓疾患等とは違って若いペットでも良く起こる病気です。ケガの延長で起こるものもあります。適切に治療すれば完治するものもありますし、継続的な投薬が必要なものもあります。最近はペットの花粉症も増えてきていて、春や秋に痒み等の症状を示す例も多くなってきました。ペットは一度痒みが出ると我慢するという事をなかなかしてくれないので、ちょっとした眼のかゆみから悪化させて眼球摘出などにならないようにしてあげてください。